皆さん、こんにちは。行政書士の末藤です。
これから、相続について、分かりやすく解説するブログ連載を始めたいと思います。
まずは、平成30年に相続関係で大幅に改正された民法について、全5回にわたり解説します。
「法律」「民法」と聞くと、少し難しそうだな、自分には関係ないかも、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
でも、実は今回の民法改正は、私たちの暮らしや、大切なご家族への想いを形にする「遺言」に深く関わる、とても大切な内容と変更点を含んでいるんです。

なぜ今、相続の法律が変わったの?
民法の相続に関する部分は、なんと昭和55年(1980年)以来の大改正となりました。なぜ、これほど大きく法律が変わる必要があったのでしょうか?
その背景には、日本の社会の高齢化と、社会経済情勢の変化があります。
昔に比べて、人生100年時代と言われるほど長生きする方が増えました。これにより、相続が発生するタイミングや、財産の種類も多様化しています。また、ご家族の形も昔とは変わってきています。
こうした社会の変化に対応するために、今の時代に合った相続のルールが必要になったのです。

改正で何が変わったの?主なポイントをご紹介
今回の改正は、多岐にわたります。特に私たちの生活に身近なところでいうと、主に以下のような点が変わりました。
1. 遺言書のルールが見直された
特に自分で書く「自筆証書遺言」が、以前よりもずっと利用しやすくなりました。
さらに、書いた遺言書を法務局で預かってもらえる制度が新しくできました。これで、遺言書が紛失したり、見つけてもらえなかったりする心配が減りますね。
2. 遺言を執行する人の権限が明確になった
遺言の内容を実現してくれる「遺言執行者」という人の役割や権限がハッキリしました。
3. 「遺留分」のルールが見直された
兄弟姉妹以外の法定相続人に保障されている、最低限もらえる遺産の割合である「遺留分」(いりゅうぶん)の請求方法などが変わりました。
4. 新しい制度ができた
残された配偶者が住み慣れた家に住み続けられる権利(配偶者の居住権)や、ご家族以外の方が亡くなった方の財産の維持や増加に貢献した場合の制度(特別の寄与)などが新設されました。
これらの改正は、主に「遺言」の利用を促進したり、相続を巡る争いを未然に防ぐことを目的としています。
いつから始まったの?
改正された法律は、平成30年(2018年)7月6日に成立し、同年7月13日に公布されました。
そして、原則として令和元年(2019年)7月1日から施行されています。
ただし、改正内容によっては施行日が異なっています。
•自筆証書遺言の方式緩和は、これに先立ち平成31年(2019年)1月13日から施行されました。
•新しい制度である配偶者居住権などは令和2年(2020年)4月1日から。
•法務局での遺言書保管制度は令和2年(2020年)7月10日から施行されています。
このように、相続に関するルールは既に新しくなっています。

この連載では、これらの改正ポイントを、皆さんの日々の暮らしと結びつけながら、分かりやすく丁寧にお伝えしていきたいと思います。
次回は、皆さんも身近に感じられる「自筆証書遺言」がどのように変わったのか、その方式緩和について詳しく解説します。
お楽しみに!